自家用車通勤で事故、会社に責任は?
- office138
- 2021年1月20日
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Q:自家用車で通勤している従業員が信号無視で事故を起こし被害者が重度後遺障害となってしまいました。会社にも責任が及ぶのでしょうか?
A:会社は、責任(民法715条・使用者責任)を負う可能性があります。
(1)従業員の事故について会社が負う責任「使用者責任」とは
従業員が起こした事故について会社が責任を負う。これを「使用者責任」といいます。この使用者責任は法廷実務上幅広く認められています。会社が責任を免れることは難しいということです。
(2)自家用車の通勤中の事故でも使用者責任は生じるのか
原則、通勤中の事故においては使用者責任は生じません。理由は、通勤中の自家用車の運転行為は「事業の執行に当たらない」との考え方は一般的になりつつあるためです(大阪地裁 平成26年3月27日判)。
しかし、会社がマイカー通勤を奨励あるいは容認していた場合には、使用者責任が認められる可能性があります。判例では、当該ご質問と同様の事故が発生し、会社がマイカーの業務使用を黙認しており、ガソリン代などの実費も全額支給していたケースで、使用者責任が認められています(神戸地裁平成22年5月11日判決・交民43巻3号555頁)。
従業員の自家用車での通勤を推奨もしくは容認していた場合や公共交通機関を利用できない時間帯に通勤を求める場合には、使用者責任が認められる蓋然性が高まります。

(3)会社の責任である使用者責任を回避するには
就業規則等で自家用車による通勤を禁止する旨の規定を設ける
公共交通機関を利用できない時間帯に通勤を求める場合には、社用車を貸与する。もしくは、特例として自家用車の使用を認め、自賠責保険・任意保険の加入を義務付け管理する
自家用車の禁止もしくは特別使用について誓約書を交わす
さらに、万が一の場合に備えて、会社で使用者賠償責任保険へ加入する
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