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法定健康診断を受けない者が過労死したら?

  • 執筆者の写真: office138
    office138
  • 2021年1月23日
  • 読了時間: 2分

精神疾患の労務トラブル
健康診断を受けない者が過労死したら?

Q:当社は運送業です。法定健康診断を受けない運転者がいます。もし過労死した場合の責任は?また、労災補償は出るの?

 当社は運送業です。トラックの運転者のは、運転業務に従事している時間が長いので、全員一斉に健康診断を実施できません。健康診断を受けない従業員がいるのですが、この従業員が過労死になった場合、会社の責任はありますか?また、その場合に労災保険から給付を受けることができますか?


A:もし、会社の怠慢で健康診断が行われず、更にその従業員が特定の疾患があり業務遂行により過労死につながった場合、会社の安全配慮義務違反が問われます。国の労災保険、民間の労災上乗せ保険は基本的に給付されるでしょう。

(1)法定健康診断を受けない従業員への対応

 会社は健康診断を実施する義務がありますし、従業員も健康診断を受診する義務があります(安衛法66条5項)。健診を受診させる義務、健診結果を記録する義務、受診者に対する結果通知義務を怠った場合、50万円以下の罰金に処せられます。


 また、会社の怠慢で健康診断が行われず、その従業員の持病が悪化し過労死につながった場合には、安全配慮義務違反となり高額の損害賠償責任(場合によっては億を超える)を負います。


 会社がすべき法廷健康診断を受けない従業員への対応としては下記のとおりです。

  • 就業規則に従業員の健康診断受診義務を定める。

  • 全社員への受診指示、未受診者への繰り返し指示を行い、促進の記録を残しておく。

  • 就業規則に健康診断を受診しない者には懲戒処分を行う旨を定め、繰り返し指示しても受診しないものに対しては、懲戒処分を実施する。

  • 就業規則に健康診断の結果、業務上支障のある疾患が見つかった場合に労務の提供を拒否できるよう定めておく。

 以上のように適切な対応をとっていれば会社の安全配慮義務違反は免れるでしょう。


(2)健康診断を受けない従業員が過労死した場合の労災給付

 国の労災保険と民間の労災上乗せ保険の給付について説明します。


 先ず、国の労災保険については基本的に給付されるでしょう。ただし、犯罪や重過失があった場合には支給制限がなされます(労災保険法12条2・2・2)。


 次に、民間の労災上乗せ保険についても国の労災認定が下りれば支払われるでしょう。

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