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新型コロナ感染者の休業補償

  • 執筆者の写真: office138
    office138
  • 2021年1月21日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年1月22日


精神疾患の労務トラブル
新型コロナ感染者の休業補償

Q:新型コロナウイルスに感染した従業員を休業させる場合、給与(休業手当)はどのようにすべきですか?また、どのような対応が必要ですか?






A:新型コロナウイルス感染者が、都道府県知事が行う就業制限により休業する場合は、通常は休業(給与)手当を支払う必要はありません。また、自宅待機などの対応が必要です。

(1)新型コロナ感染者への給与支払い義務

 新型コロナウイルス感染者は、感染症法により指定感染症とされているため就業が制限(仕事してはダメ)されます。その場合、会社には責任がない(「使用者の責に帰すべき事由による休業(労働基準法26条)」に該当しない)ので休業(給与)手当を支払う必要はありません。


 ただし、会社都合や会社に責任がある(「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する)場合は、休業(給与)手当を支払う必要があります。例えば、濃厚接触者で感染しているかどうか不明な者を会社の指示で休業させる場合には、休業(給与)手当を支払う必要があります。

(a)業務中に感染したケースです。例えば、医療従事者が新型コロナ感染者を治療していた際に感染した場合などです。この場合、会社に平均賃金60%以上の給与支払い義務がありますが、これは労災保険の休業補償給付より支払われます。

(b)業務とは無関係に、従業員が新型コロナに感染し都道府県知事より就業制限を勧告されたケースです。この場合、会社に休業(給与)手当を支払う義務はありません。被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者(健保組合など)から傷病手当金が支給されます。 具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

(c)感染が不明だが、会社が自宅待機を命じるケースです。例えば、社内で新型コロナ感染者が出て濃厚接触者がいる場合に、その濃厚接触者に対して感染が判明するまでの間、自宅待機を命じる場合です。会社に平均賃金60%以上の給与支払い義務がありますが、これは(a)や(b)等のように休業補償給付や傷病手当などはありません。

(d)従業員の都合の場合は、当然に会社に休業(給与)手当の支払い義務は発生しません。


(2)従業員が感染した場合の対応

 感染が認められた場合は、濃厚接触者の判定のため症状が出始めた日以降の行動を全て把握することが求められます。保健所の指示に従いながら、対象従業員の行動を洗い出します。保健所が濃厚接触者と確定した従業員に対し、速やかに14日間出勤を停止し、健康観察を実施して感染拡大防止に努めましよう。


 また、感染が拡大しないよう関係者へ連絡し感染予防策についてあらためて注意喚起を行います。その際、プライバシーの観点から感染者本人が特定されないよう配慮しましょう。


 保健所が必要と判断した場合には、感染者が勤務した区域の消毒を実施します。消毒は保健所の指示に従って実施することが望ましいです。


(3)同居する家族・商談相手などが感染した場合の対応

 従業員本人に症状が出ていない場合でも、14日間はテレワークや自宅待機とすることが好ましいでしょう。この場合は、会社に平均賃金60%以上の給与支払い義務(上記(c)参照が生じます。


 新型コロナウイルス感染症については日々状況が変化しています。本紙記載事項に関わらず、常に政府の指示、命令、及び地方自治体などの最新情報を収集してご対応下さい。

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