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労災死亡が発生した場合の企業責任

  • 執筆者の写真: office138
    office138
  • 2021年1月16日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年1月25日


精神疾患の労務トラブル
労災死亡の企業責任

Q:従業員の労災死亡が発生してしまいました。どのような企業責任が発生するのでしょうか?

 当社は、建設業です。従業員が足場から落下し死亡事故となってしまいました。現在、労働基準監督署や警察の事情聴取が進められています。会社にはどのような責任が発生するのでしょうか?とても不安です。


A:予測される責任は、刑事責任、民事責任、行政責任、社会的責任の4つです

(1)刑事上の責任

 労働安全衛生法では、事業者に対して労働災害防止の事前予防のための安全衛生管理措置を義務づけています。この安全衛生管理措置ができていないと刑事責任が課せられます。また、当事者が危険防止を行っていないことで死亡事故が発生したのであれば、業務上過失致死傷罪(刑法第211 条)に問われます。


(2)民事上の責任

 会社が危険防止を行っていないことで死亡事故が発生した場合、不法行為責任や安全配慮義務違反(債務不履行責任)で損害賠償を請求される可能性があります。国の労災保険給付が行われたとしても損害賠償金をカバーできませんので、会社が高額の賠償金を支払わなければならない可能性があります。


(3)行政上の責任

 労働安全衛生法違反や労災発生の急迫した危険がある場合には、機械設備の使用停止や作業停止等の行政処分を受けることがあります。また、取引先(他官庁)からの取引停止(指名停止)を受ける等の処分を受けることがあります。


(4)社会的な責任

 上記のような責任を負った結果、信頼性が低下します。マスコミなどへの公表にコストや時間がかかってしまうこともあるでしょう。



(1)業務上過失致死罪

 業務上過失致死罪は、個人へ課される責任です。わかりやすい事例で説明すると、工事現場内を自動車で移動中に人を轢き死亡事故となったケースです。この運転者は、業務上過失致死罪に問われます。

(2)労働安全衛生法違反

 労働安全衛生法は、会社と個人(社長など)へ課される責任です(両罰規定)。例えば、建築現場の足場などで墜落防止措置を講じずに作業員が転落死してしまったなどのケースでは、6か月以上の懲役または50万円以下の罰金が課されます。

(3)会社および社長に責任が発生しない場合とは

 責任が発生しないということは、業務上過失致死罪も労働安全衛生法違反も該当しない場合ということです。すなわち、社長個人が業務上必要な注意を怠っていない(もしくは、直接加害者となる従業員がいない)場合で、かつ安衛法に定められる規定に違反がない場合ということになります。

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